条虫 Cestode

条虫(条虫網 Cestoda)は一般に言われるように、長い真田紐のような外観を示す。すべて雌雄同体であるが、中間宿主を1つ必要とするもの(擬葉目)と2つ必要とするもの(円葉目)がある。

広節裂頭条虫 Diphyllobothrium latum

広節裂頭条虫はヒト小腸に寄生する大型の条虫で、真田紐のような形態を示し、長いものでは10mにも達する。ヒトはマス・サケの生食により感染する。一般に下痢や腹痛を起こすが、あまり強くない。写真は虫卵,成虫を示す。

マンソン裂頭条虫 Spirometra erinaceieuropaei

マンソン裂頭条虫はネコやイヌを固有宿主とする条虫である。ヒト体内では通常成虫にはならず、幼虫のまま体内移行してマンソン孤虫症を引き起こす。写真は虫卵、成虫、幼虫(ヘビの皮下)を示す。

無鉤条虫 Taeniarhynchus saginatus

無鉤条虫はヒトを唯一の固有宿主とする条虫で、牛肉を生食することにより感染する。症状は強くなく、腹部不快感・腹痛・下痢程度である。写真体節、虫卵を示す。

有鉤条虫 Taenia solium

有鉤条虫はヒトを唯一の固有宿主とする条虫で、豚肉を生食することにより感染する。成虫寄生の場合は、無鉤条虫と同様で症状は比較的軽い。しかしながらヒトが虫卵を飲み込むとヒト体内に虫嚢を形成し、非常に重篤な症状を起こす。

多包条虫 Echinococcus maltilocularis

多包条虫は体長3~6mmときわめて小さい条虫で、キツネ・イヌなどの小腸に寄生している。糞便中に排泄された虫卵をヒトが経口摂取すると感染し、体内で包虫を形成する。発育はきわめてゆっくりで、発症までに数年から数十年かかるが、症状は重篤で治療は難しい。写真は成虫、原頭節を示す。

小形条虫 Vampirolepis nana

小形条虫は本来ネズミを固有宿主とする条虫である。ヒトはノミを誤って口に入れることで感染し、小腸内で成虫となる。また虫卵が腸内で孵化して感染する自家感染の恐れもある。症状としては多数寄生の場合、腹痛・下痢・栄養障害などが生じる。写真は虫卵(縮小条虫との違いに注意)、シスチセルコイドを示す。

縮小条虫 Hymenolepis diminuta

縮小条虫も本来ネズミの条虫である。ヒトはノミ類やゴキブリ類を経口摂取して感染する。自家感染はない。よって寄生数は少なく、症状も軽い。写真は虫卵(小形条虫との違いに注意)を示す。

瓜実条虫 Dipylidium caninum

瓜実条虫はイヌやネコを固有宿主とする条虫で、片節の形が瓜の実に似ていることからこの名が付いた。ヒトはノミなどを経口摂取することにより感染する。症状は無症状なことが多い。写真は成虫を示す。
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